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2015年3月 3日 (火)

原告・佐藤裕一の陳述書(秘密保護法違憲≪東京≫訴訟)

秘密保護法違憲訴訟では、訴状提出と同時に執行停止申立書をあわせて出しています。このとき原告のひとり佐藤裕一(記者)が提出した陳述書を公開します。秘密保護法成立直後、埼玉県警は、原告・佐藤裕一に対し「あなたは記者じゃない」という趣旨の発言をし、取材に応じなかったことがあります。そのリアルなやりとりをご覧ください。

陳 述 書

2014年5月13日

東京都千代田区三崎町(略)
佐藤 裕一(印)

【1】
 私はインターネットのニュースサイトを中心に取材執筆するフリーランスの記者をしています。記者として活動を始めたのは2008年です。それ以前の数年間は、ニュースサイトを運営する会社の総務とシステムを担当していました。

 おもな取材テーマは若者の過労死と鉄道の人身事故で、2011年7月には、鉄道人身事故のデータをまとめた書籍『鉄道人身事故データブック2002ー2009』をつげ書房新社から出版しました。

 2011年3月の原発事故後は、東京電力の記者会見や、福島原子力発電所事故対策統合本部(のちに政府・東京電力統合対策室)の共同会見に参加し、インターネットを通じて読者から寄せられた「これについて質問して欲しい」と要望をもとに質問する取材を行い、国民の知る権利に貢献してきた自負があります。

【2】
 鉄道の人身事故の取材は、今年1月から各都道府県の警察に電話取材をしています。都道府県によってフリーランス記者への対応は異なり、(1)事故現場の所轄警察署が取材に応じる(2)警察本部の報道担当が対応する(3)フリーランス記者の取材には応じないーーのいずれかの対応を受けます。

 埼玉県警察本部広報課に初めて電話取材した今年1月26日、同広報課は私をフリーランスの報道記者として処遇し、報道発表の内容を電話口で読み上げる形で取材に応じていました。1月28日に発生したJR高崎線鴻巣駅(埼玉県鴻巣市)、31日朝の東武伊勢崎線大袋駅(埼玉県越谷市)の人身事故についても、報道記者の対応を受けました。

 ところが、1月31日夕方に起きた西武池袋線武蔵藤沢駅(埼玉県入間市)の人身事故を取材するため、同日夜に埼玉県警察本部広報課に架電したところ、報道係のコバヤシ氏から「自称記者、フリー記者の取材は今後お受けしません」と突然通告されました。2月1日にはやはり広報課報道係のカノウ氏から、私は「記者でない一個人と同じ」と言われました。

 そこで同日、私が昨年雑誌に書いた署名記事と、私のコメントが掲載された雑誌記事のコピーを埼玉県警察本部広報課にファクスし、私が記者であることの確認を求めました。

 2月1日は土曜日だったため、休み明けの月曜日(2月3日)に埼玉県警察本部広報課に電話して確認すると、報道係のカノウ氏から「佐藤さんが間違いなく記者であることを確認できた」と回答を得ることができました。

 しかし、カノウ氏は続けて、「フリーの記者さんであってもそうでないとしても、やっぱり一個人という認識」と話し、私が報道対応を受けられないことは同じでした。

【3】
 2月5日、私は埼玉県警察本部長宛に状況改善の申入れをしたいと考え、申入れ手続きを相談するため、埼玉県警察本部を訪れました。

 受付で用件を伝えると、男性職員が来て私を「けいさつ総合相談センター」の面談室に案内しました。男性職員が退室して少しすると、広報課の課長補佐だというムラコシ氏が現れました。ムラコシ氏は、私の対応に関して経緯を知っているとのことでした。

 カノウ氏の発言の通り、埼玉県警は私が記者であることを分かっているのに、なぜ報道対応を拒絶するのか。その理由を尋ねると、ムラコシ氏は、私がツイッターで数回、埼玉県警の対応を批判していることを取り上げ、「ふつうの記者はそんなことしない」「記者でないと思っています」と発言しました。警察を批判することを書いているから記者ではない、という趣旨です。

 少し長くなりますが、ムラコシ氏との主なやりとりはおおよそ次のような内容でした。

原告佐藤「フリーの記者です」

ムラコシ「自称フリーの記者?」

原告佐藤「雑誌などに書いていますから、職業としてやっています。フリーの記者には対応しないことを決定したと言われました。決定の内容を正確にお聞きしたいというのはあります」

ムラコシ「(担当者が)何と言ったのか分からないですよね。受け取り方でしょうから。フリーの記者には取材させないという趣旨ではないですよ。個人の人には取材させませんという意味ですよ」

原告佐藤「フリーの記者というのは個人ですよね。先ほど『自称』とおっしゃいましたが、埼玉県警がどういう頭の中になっているのか確認しておきたい」

ムラコシ「お見せすると、それがまたツイッターになるんじゃないですか?」

原告佐藤「それはそうですね」

ムラコシ「ふつうの記者はそんなことしないですもん」

原告佐藤「あなたが記者であることは分かりましたと言われています」

ムラコシ「自分で記者だと言うから、記者であることは分かりました(ということじゃないですか?)」

原告佐藤「違います。雑誌に書いた記事をファクスで送っています。それを見たうえで、記者であることは分かりましたとおっしゃっていただいています」

ムラコシ「ツイッターで結構、漠然と『対応が悪い』とか書くんですね」

原告佐藤「そうおっしゃったという話ですから、別に問題ないじゃないですか。何か問題あるのでしょうか」

ムラコシ「人身事故の話を取材したいというだけですよね?」

原告佐藤「もちろんそうです」

ムラコシ「態度が悪いとかそういう話じゃないですよね」

原告佐藤「どうしたって書きますよ。取材させていただけてないですもん」

ムラコシ「態度が悪いとかそういう話じゃないですよね。記者はそんなこと書かないですよね。記者としてですよ」

原告佐藤「書きますよ」

ムラコシ「記者には理念がありますよね。個人的な意見じゃないですよね。記者なんですから中立な意見ですよね」

原告佐藤「中立というのはおっしゃっている意味が分かりませんが、具体的に誰がどう言ったというのは事実です」

ムラコシ「あなたの『アノヤロウ』という気持ちが入るわけじゃなくて、ほんとうに記者というのは中立でなければならない」

原告佐藤「記事のなかではそれは抑えますよ」

ムラコシ「ツイッターも一緒じゃないですか。自分のなかから発する言葉っていうのは。違うんですか?」

原告佐藤「実際に記事として書くのとは違う」

ムラコシ「ツイッターは見ますよ。佐藤裕一さんという記者が発する言葉ですから」

原告佐藤「ウソは書いていませんよ」

ムラコシ「でも、記者っていうのは、中立ですよね」

原告佐藤「それは違いますよ。もし記者が中立だというのなら、ふだん喋っていることだって全部そうなってしまう」

ムラコシ「文字にしていますよね」

原告佐藤「記事ではそんなこと書いてないですよ」

ムラコシ「記者として書いているわけですよね。記者として呟いているわけですよね」

原告佐藤「言われたのは事実ですからね」

ムラコシ「記者としてつぶやいているわけですね」

原告佐藤「そうですね。でも言われたのは事実ですからね。中立がどうこうではなく、嘘を書いているのは一つもないですからね」

ムラコシ「まあ、埼玉県警はそういうふうに見ておりますんで」

原告佐藤「そういうふうにというのは? 自称記者であるということですね」

ムラコシ「個人として見ています」

原告佐藤「記者であるけれども個人というのは?」

ムラコシ「記者でないと思っています」

原告佐藤「カノウさんからは『記者であることは分かりました』とおっしゃっていただけましたよ」

ムラコシ「記者であるというのは、あなたが『自分は記者だ』と言っているっていう意味が分かるでしょうか?」

原告佐藤「自称記者とそうでないフリー記者の区別がよく分からないです。フリー記者に2種類あるという感じなんですね? 1つは自称記者で、もう1つはなんて言えばいいですかね?」

ムラコシ「ツイッターで書くんでしょ?」

原告佐藤「それは書きますよ」

ムラコシ「言ったら言ったでまた書くんでしょうか」

原告佐藤「おっしゃっていただいたのは事実ですからね」

ムラコシ「事実だから事実だからって、人間の言葉っていうのは、受け取り方で違いますからね」

原告佐藤「自称記者ともう1つ何でしょう。職業フリー記者みたいな感じですか?」

ムラコシ「何も言いません。言ったら言ったらで、『ああ言ったこう言った』って。中立で書いてください」

原告佐藤「事実は書きます」

 以上のようなやりとりから、埼玉県警が私を記者扱いしてないことは明らかです。また、その理由が、事実に基づいた批判的な発言をツイッターに投稿したことにあることも明白です。

 繰り返しになりますが、埼玉県警は二度、私が記者であることを認めています。

 一度目は、1月下旬に私の電話取材に応じていたこと。私は報道記者として処遇されていたことが分かります。二度目は、私の記事を見たカノウ氏が、「佐藤さんが間違いなく記者であることを確認できた」と述べていることから分かります。

 ムラコシ氏の発言が示しているのは、ツイッターでの自由な発言を認めない警察の傲慢な態度であり、「記者でないと思っている」と言い掛かりをつければ、警察は記者を「記者でない者」にできるという現実です。

 私が直面したのは鉄道人身事故の取材においてですが、もしこれが、知らないうちに特定秘密に関わってしまう取材ならばどうでしょうか。

【4】
 岡田広内閣府副大臣は特定秘密保護法の「報道の業務に従事する者」について、2013年10月30日の衆議院国家安全保障に関する特別委員会で、「放送機関、新聞社、通信社、雑誌社の記者に限らず、個人のフリーランスの記者もこれに含まれると考えます」と答弁しています。

 岡田副大臣は11月5日の同委員会でも、「報道の業務に従事する者」について「有償、無償を問わず、報道の業務を継続的に行っている者と考えます」と述べています。

 訴状にも書きましたが、通常の取材活動において特定秘密保護法違反の疑いが生じたときに、フリーランスの記者が「報道の業務に従事する者」に該当するかどうかは、裁判所の判断を待たなければなりません。

 ということは、裁判以前の段階において、警察・検察がフリーランス記者を「記者でない」とみなす可能性があります。実際に、埼玉県警は私をそのように扱いました。

 そうすると、フリーランス記者は、警察・検察の考えひとつで特定秘密保護法第22条の対象外となり、通常の取材活動にもかかわらず逮捕・勾留されるリスクが生じます。

 特定秘密保護法の施行前の現在であれば、警察から「記者でないと思っている」と言われたとしても、そのことによって逮捕・勾留されるリスクはありません。しかし、特定秘密保護法が施行されてしまえば、逮捕・勾留されるリスクが生じます。

 そして、このリスクは報道・取材の自由を大幅に萎縮させ、国民の知る権利および憲法21条の表現の自由を侵害するので、訴状の通り、特定秘密保護法の無効確認と施行差し止めを求めます。

以上

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